『 ラーヤパセーニヤ 経』(抄)──パエーシ王物語 34より その時、若くして出家したケーシはパエーシ王にこういった。「お前は、パエーシ、最初は立派で後ではみすぼらしくなるな。森や劇場やサトウキビ工場や脱穀場のように」 〈沈思黙考〉 最初は立派で後ではみすぼらしくなるな 〈応用・適用・活用〉 独り占めせず、分け与えお互いに活かしていこうということ。 森は、葉が茂り花が咲き実が稔り、緑の植物の光で美しくとても輝いていると、立派だ。しかし葉が茂らず花が咲かず実が稔らず、緑の植物が光らず美しくもなく、とても輝いていなければ、古くなり荒れて萎んだ黄色い葉で全体が枯れ木のようになる。すると森はみすぼらしくなる。 葉が茂り花が咲き実が稔り美しく輝いていると、その森の輝きは周りに益をもたらすとも解釈できる。 人間でいえば、上に立つ者、例えば今回のくだりに出てきたパエーシ王が輝いていれば、民も輝く。民が輝くような王としての在り方を成せば、自他ともに幸福になる。 一方、森が自らのためだけに茂ったとしても、森のみの利益にとどまり、それは初めのうちはそれでよいかもしれないが、やがて朽ち行く森とその影響を受ける周囲もともにみすぼらしくなってしまう。最初は立派でも後ではみすぼらしくなってしまう。 自らも輝き他も照らし輝かせる在り方を求めよ、ということ。 悪いカルマばかり積み重ねてきたパエーシ王だが、やがて改心しこのように述べる。 「 決して先生、私は最初は立派で後ではみすぼらしくなりません。森や〈中略〉脱穀場のようには。私はセーヤヴィヤーの都を中心とする七千の村を、四つの部分に分けます。一つの部分は軍隊に与えます。一つの部分は穀物蔵にします。一つの部分は後宮に与えます。一つの部分はとても大きな石造りの邸宅にします。そこでたくさんの人に必需品や食料を与え、たくさんの食物など四種を用意させ、多くの遊行している出家者・バラモン・托鉢者に分け与えます。そうして多くの小誓戒・特質戒・禁忌・放棄・潔斎・断食で〈中略〉暮らします」 皆にとっての益を思い、分かち合い活かしあうこと 自制し暮らしていくこと が伺える。だから、 自らが最高に輝くことで他を輝かせる在り方を求めていこう! 他が輝くことで自らも一層輝く在り方を求めていこう! そうして最期まで立派な在り方...